帰省初日の夜、小銭入れが行方不明に。
えーーーー。ん十年生きた中で財布を落とした経験なんぞ一度たりとてないぞ。郵便局ATMで下ろしたお金を取り忘れたのは1回だけあるが。わたしの2000円をネコババしたんは誰じゃー。返せー。

いやもうそれは教訓として胸に刻んでおくべき出来事なんであるからして今は不問にしよう。

はてさて無くしたとしたら何処だ?最後に小銭入れを使ったのは駅前のコンビニだよな。レシート片手に電話をかける。
あ、お忙しいところすみません、小銭入れの落とし物は届いていませんでしょうか?
「どんな小銭入れですか?」
こげ茶色の皮のKENZOさんの小銭入れです。
「申し訳ありません、そういうのは届いていませんね」
そうですか、すみませんお手数をおかけいたしました。

念の為、利用した駅にも問い合わせ。しかし「ありませんねえ」


もしかしてそもそも小銭入れを持って来なかった?いや忘れ物を取りに帰る途中のコンビニで鞄から出したんだからそれはない。じゃ家に帰った時何処かに置いたとか?


その一縷の望みに賭ける。捜しに戻るわけにいかんしね。もし無くしてたらどうしよう。お金はたいしたことないけど(あるけど)ちまちまポイントを貯めたミスタードーナツのカードと間仕切りに入れた指環だけは取り返しがつかない。

ドキドキもんで家に帰る。取るものとりあえず台所のカウンターを物色。ない。テーブルとその周辺。ない。チェストの上。ない。
がびょーん。まさかそんな嘘でしょう。
半ば自棄気味に洗濯機辺りを捜す。

あった。落ちてた。排水ホースの陰にこっそり隠れていたよ。なんでこんな処にと敢えて自問自答するのは止しておこう。よかったー。なくしたんじゃなくてよかったー。